第36回法心理・司法臨床セミナー 「加害公務員個人の損害賠償責任追及の法心理」(2015年7月20日)(終了)

2015/06/27 6:44 に 中田友貴 が投稿   [ 2015/07/26 20:56 に更新しました ]
セミナーを下記の通り開催いたします(参加費無料)。多数のご参加をお願いいたします。

【日時】 20157月20日(月)16:30-18:30
【場所】  朱雀キャンパス 205教室
             アクセスマップ:http://www.ritsumei.jp/accessmap/accessmap_suzaku_j.html

「企画趣旨」 松本克美(立命館大学・法心理・司法臨床センター)

「八鹿病院事件訴訟の経緯」 岩城譲(原告側弁護士・いわき総合法律事務所)

「パワハラ上司の個人責任を否定した控訴審判決について訴えたいこと」八鹿病院事件・原告

(企画趣旨)

 公立八鹿病院(兵庫県養父市)に勤務する男性医師(整形外科医)が赴任後わずか2か月後に自殺した(当時34歳)。自殺の原因は加重な長時間労働と上司のパワハラによるうつ病に起因するものであった。この自殺については、公務上の災害であるとの認定がなされ、地方公務員災害補償基金から遺族補償がなされたが、被害者の遺族(両親)は、病院(公立八鹿病院組合)とパワハラを働いた上司2名を相手取り、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提訴した。

 1審の鳥取地裁平成26526は、民法を適用して、被告組合の業務遂行の適正管理義務違反の債務不履行責任及び使用者責任(民法715条)と、パワハラを働いた上司2人の不法行為責任(民法709)を認めたが、被害者本人にも発症可能性を軽減する義務を怠った点で過失相殺の規定を類推適用して損害額を2割減ずるのが相当とした。

 これに対して両当事者が不服として争った控訴審で、広島高裁松江支部平成27318判決は、被告組合の安全配慮義務違反の責任と国家賠償法1条の責任を認め、1審が認めた過失相殺を否定し、1審より約2000万円多い1億7000万円の損害賠償責任を認めた。他方で、上司個人の不法行為は違法な公権力の行使によるものであるとして1審とは逆に民法の適用を否定し、国家賠償法上公務員は個人責任を負わないという理由で上司個人の賠償責任は否定した。

 原告は、パワハラを働いた上司個人が公務員という理由で賠償責任を免れるのは納得がいかないとして、現在、最高裁に上告及び上告受理申立て中である。

 最高裁は、従来、公務員の違法な公権力の行使による損害については、国家賠償法が適用され、国又は地方公共団体が損害賠償責任を負うのであって公務員個人は賠償責任を負わないとしてきた。近時、公立中学による柔道指導の過失による死亡した中学生の親が学校を管理する県と指導者の個人責任を追及した事例でも、この判例にのっとって指導者の個人責任を否定した控訴審判決を不服として上告した事件で最高裁は個人責任を否定している。

 賠償を得るという観点からのみ見れば、機関の損害賠償責任が認められたのであるが、それだけでは納得できず直接の加害行為をした個人の賠償責任を追及したいという被害者の遺族らの思いは、法律論の観点のみからは十分正確に把握できないのではないか。本セミナーでは、個人の賠償責任否定に納得できない遺族らの思いを法心理の観点から検討したい。

参加】 無料・要予約
【主催】 立命館大学R-GIRO法心理・司法臨床センター
【連絡先】 cfcp.rits(@)gmail.com (法心理・司法臨床センター)
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